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「アンドレア・インコントリ」ありそうでない、独創的なフォルムのエレガンス

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コーディネイトで遊ぶのではなく、一着の服の形や素材の中に遊びを入れるのが「アンドレア・インコントリ(ANDREA INCONTRI)」のスタンス。そのため、表情のある手の込んだ生地使いや、端正なカッティング、大胆なジッパー使いで構築的なフォルムを作り上げる。たくさん使ったアウトポケット使いもペプラムディテールと同様で、フォルムをソフトに構築するためのパーツのひとつという考え方のようだ。

 大きなアウトポケットをたくさん飾ったカーキ色のコートは、ベースとなるシルエットがスリムなため、アウトドアの土っぽさは感じさせない。スリット入りの膝丈スカートにも手のひらサイズほどの大きなポケットを飾っている。アウトポケットのアイデアは素材をファーに変えて、カシミアコートの装飾として変更して変化してゆく。結果、ありそうでない、独創的でエレガントなフォルムが生まれる。メンズライクなウールのコートやロングドレスは生地の上からPVCを重ねることでフォルムを強調する。

 一見プリーツ風のスカートはよく見れば赤い生地の上に黒いテープ状の別の生地を規則正しく縫いつけており、だまし絵のような視覚効果がある。ベアトップドレスは服をキャンバスと見立て、まるで絵を描くように大きなファーや生地を貼り付けて遊ぶ。そんなアート感覚もこのデザイナーの魅力のひとつだ。多用した曲線のモチーフはサーキットからインスパイアされたもの。